カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

これきりではない

その、結婚したかったひと に、会ったことがある。

オジさんは 最初の頃、何かにつけ 会話にそのひとの名前を出した。
オジさんも そのひとも カブも、同じ車種のオーナーで、二人はOBで。付き合ってたのだから、思い出話に出てくるのはやむを得ない。


その頃は、むしろ、好き合ってる二人が 自分の気持ちとは関係なくお別れをすることに 同情というか不服というか、納得のいかないような、
そんな大人なことカブは理解できない
と思っていたので、どんな話でもウンウン聞いて、何でそうなの?を連発していた。
応援の気持ちみたいなものだった。


一緒にいる時間が長くなるにつれ、そうはいかない。
いつも一緒にいるのはカブなのに、何でいつまでもそのひと…って思う。


そんな頃、恒例の クラブの西の新年会で、カブとオジ、若いクラブメンバーの男の子の3人で西へ向かうこととなる。
一泊。


そこに、そのひとは来ていた。
知らなくはなかった。聞いてはいたけど、
何?この組み合わせ。と思う。
昔からのメンバーだ。二人のこともずっと見て来た人たちだ。
あぶれるのは カブだ。


カブの所在無さと言ったら。
みんなと騒いで笑ってるけど、ずっと 心がウロウロしていた。


そして、流れで翌日は そのひとと遠征組 4人で過ごすことになる。
お昼を食べて、市内観光。
オジさんは、普段と変わりない。
久しぶりだから、そのひととは話すことたくさんあるけど。
カブは、ただ、どんどん無口になる。


間抜けすぎた旅だった。