カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

見ざる聞かざるよう言わん

カブは休みの日、車で1時間ほどかかるオジさんの家にお迎えに行っている。オジさんの家からは、大物の荷物の有無とか 車の調子とか行き先によって、オジさんの車に乗り換えたり 自分の車を運転してもらったりする。


この距離感どうよ?
と、前はちょっと悩んだりした。


1時間かけてガソリン使ってお迎えに行って、さらに自分の車でお出かけ、オジは自己破産者なので カードも作れない、ETCも自分持ち…
どうよ?
都合のいい女 とは、まさにこの事。
とか。


けど、
そんなことを思っていた頃 カブは、こうなる前 オジさんにしてもらった、とんでもなくありがたい色々の、とんでもなさを、全然気づいていなかった。


オジさんは、出会った頃は 本当に近所に住んでいた。市内車で10分くらい。
その時勤めてた仕事場がこちらだったから。
最初はその距離で お互い行き来して遊んでた。


オジさんの実家は 今住んでる所で、仕事場から1時間くらいかかる。
仕事場のまわりでは、土地勘とか遊ぶところとかに詳しくないから、だいたい実家近くにドライブして。
昔住んでた家とか、有名スポーツ選手の実家とか、行きつけの車屋さんとか、子供の頃の自分の家のこと とか、色んなこと話して連れて行って見せてくれた。
その辺でご飯食べたり遊んだりして、夕方帰る。
その行き来。


仕事を変えたら 実家に戻った。
その はじめの頃、
カブは 車に乗るのが苦手だから遠出をしない。
距離感とか遠さに全然ピンと来なくて、いつも、こっちまで出てきてもらって、またあっちで遊んで、送ってもらって、また戻って行っていた。
おいおい。


太陽の塔 も、然り。
カブが渋滞にハマったせいで出発が大幅に遅れた。
カブは夕方家に戻らなきゃならないから、それを見越して予定を立ててくれたのに。
きっと、帰りの運転は 大急ぎで走ってくれていたに違いない。


道を知らないからって、約束の時間に向こうからどれくらいかかるか とか、アプリだってネットだってあるんだし、調べればすぐに分かること。
何もイメージしないで ただのんびり朝の支度なんかを毎回してた。


そういうことの、一つも文句を言わず、カブに気づかせることもなく、平然とした顔で、いつもそうしてくれていた。


気づいたのは、やっと 自分であちらへ向かうようになってからだ。
遠いとか怖いとか言いながら、三回曲がるだけならできるかも?と言ったら、三回くらい曲がるだけでわかるような道を教えてくれた。
きっと その頃、この距離を行ったり来たりするのにちょっと嫌気がさしていたのだろう(汗)


褒められたいばっかりに、やってみる!と言って、やってみて初めて、
え?何この遠さ。何この距離。時間のかかりよう…
唖然とした。
そして、自分が今までどんだけ甘やかしてもらってたかに気づいた。
ごめんね、ごめんごめんごめんなさーい
(>人<;)


出会ってから二年くらい、やってもらってばかりだった。
今、逆の 半分くらい、カブも自分で走ってる。
でも、会ったらずっと運転してもらってるし、希望をいつも叶えてくれる。


そして、この前やっと、カード会社の審査が通った。
お出かけの時、
やっとカード来たから…って、ETCに自分のカード差し込んでた。


こっちから走る距離なんて何でもない。
やっぱ、してもらってばっかりだ。