カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

何度でも行ってしまう

オジさんは、また西へ行ってしまった。

 

お仕事なんだけど。

 

カブは、オジさんが 西へ行くのが嫌い。

 

オジさんには、結婚したいひとがいた。

そのひととは 家柄が違って、あちらの両親に反対されていた。

その頃のオジさんは シャチョーさんで、高級外車なんかを取っ替え引っ替えして乗ったりしてたけど、そんな仕事 安定していない、先が見えない、今後どうなるかわからない なんて言われてた。

矢先、オジさんは 会社を潰した。

しばらくは 隠れて付き合ってたけど、結局 お別れしてしまった。

 

そんな話を、出会って直ぐに聞かされた。

だから、僕は 彼女が幸せにならないと、自分が幸せになんかなれない。

と言った。

じゃあ、向こうもそう思ってたら、お互いずっと幸せになれないじゃん。

私は言った。

幸せって、結婚することだけじゃないじゃん。

とは 言わなかった。

 

彼女は健在で、西に住んでいる。

 

オジさんは、仕事で、イベントで、時々西に行く。

その時の、カブの気持ちの不安定さ。

会うの?ごはんくらい食べる?どこに泊まるの?いつ帰ってくる?

 

そんなこと、縛れない。

カブは、オジさんの、何でもない。

 

明日の仕事のため、今日は 何で、今日のうちに出かけたの?