カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

仲良しです…か?

オジさんとは よく夫婦に間違えられる。

 

そりゃそうだ。年齢も不自然に離れてないし、行くとこ行くとこ いつも一緒だし。

買い物も普通に一緒に行く。

あれがいいよね、これはどうかねー…とか言いながら楽しくいられる。

普通の目線で見たら、それは仲のよい夫婦だ。

 

娘も一緒の時もある。(カブは、オジさんの事を子供に隠してはいない。そもそも車仲間だし、カブの気持ちはさて置き、現実としてやましいことは一つもない)

娘の友達の男の子も。

そうしたら、それは、まるで家族だ。

 

遊びに行くと、先々で出会う人に、

「理解ある奥さんですねー」とか、

「ホントに仲良いいね」とか 言われたりする。

 

最初は二人して、

「いえ、お友達です」

と 否定していたのだけど。

 

そりゃそうだよな、そう見えるわな。だし、

そう言われることに 当たり前に慣れてきて、

ふ。と、笑うだけになってきた。

全く知らない人に いちいち説明するのもめんどくさいし。

 

けど、“仲がいい” って何だろう。

 

喧嘩は した事がない。

オジさんは、カブに怒ったことは一度もない。

声を荒げることもない。

押し付けない 無理強いしない 望まない。

それって…

 

その人に 関心がないって事じゃないか。

 

そう思うと…

比べたってしょうがない。意味がない。

所詮、土俵が違うんだし。

でも。

知りたくなる。

随分前に聞いてみた。

 

あのひとと

喧嘩したことある?

 

「喧嘩…

誤解とかを解くために…とかはあったよ」

 

そうね。

そうだよね。

誤解とかすれ違いとか。

でも、それを解きたい って思うのは、そうして一緒に居続けたい って事なんだ。

 

そして、それがなく 良好な関係っていうのは…

 

深く知る必要のない関係。

 

何を考えているのか、どう思ってるのかわからないひと。

でも、こんなに長く一緒にいる。

そんなにドライな気持ちで そんな風にいられる?

って 思うけど。

 

何も聞けずに、踏み込めずに、ただ ここに浸かっている不条理の道理。

 

踏み込んで何になる?

求めているものは何?

欲しいのかと問えば、

欲したところで…

となる。

 

カブの欲しいのは 今。

今のこの居心地のいい全ての事だ。

なにが変わっても、どう転んでも、それは 望む事じゃない。

 

この絶妙なバランスで、こうして居ることが、誰にも解らない幸せだ。