カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

我儘

なんと、同居の義母が倒れ 入院。

義父は義父で、予定していた癌の手術のため入院致しました。

 

一応、無事である為、手前勝手な我儘を、他のどこでも言わないから ここで言う。

 

こういうハプニングに めっぽう弱いのが、カブとオジのような関係だ。

 

私たちには、何も縛るものはない。

お互いの生活のあれこれには、聞いてはいるけれど 自分の存在する場所はない。

 

オジさんとのエピソードで、忘れられない事がある。

 

車のイベントを、別の女の子の友達と見に行った。

オジさんと共通の友達なので、オジさんも来たらいいのに…と思い誘っていた。

行けたらねー…

とか言ってたけど、来る気配がない。

まあ、都合もあるしね。と思って、しつこくはしてないけど 写メなど送りつけたりしていた。

 

翌日。

父親が亡くなりました

という 知らせが来た。

 

言ってくれればよかったのに…!

申し訳なさといたたまれなさと恥ずかしさが ごちゃ混ぜになった。

ごめんなさい。言ってくれればいいのに…

オジさんは笑ってくれた。

 

毎年 その日には 、少しのお菓子を持参する。

 

オジは、優しくて寡黙で格好よすぎる。

 

カブのチチは、去年、国指定の難病で逝ってしまった。

 

たまたま オジさんに会う日で、その日 カブは、たまたま電車で待ち合わせ場所に向かっていた。

電車内で危篤の知らせを聞いたカブは、ぐるぐる頭を回しながら とりあえずオジさんの顔を見たかった。

母が再婚したチチ との関係性や自分のおもいを、あまり人に話さない。

それを言える友達は、多くない。

オジさんは知ってる。

チチに会う前に、誰かに 何かを…

 

引き返すより向かうを選んだ。

チチの入院してる病院の場所は、待ち合わせの場所から遠くなかった。

 

オジさんは、最寄りの駅まで送ってくれれば自分で病院に行く と言ったカブを、病院まで送ってくれた。

頭が回らなくて、着くまでそれに気付かなかった。

人前で泣かない って決めてたカブは、車の中でちょっとだけ泣いた。

 

間に合わなかったけど。

家族で最初にチチの顔を見た。

 

オジさんに、

間に合わなかった。ありがとう。

って連絡をした。

間に合わなかったかぁ

って 返事が来た。

 

本当に感謝している。

 

 

 

“その” 時には、選ぶこともなく やるべき事をやるしかなく、会いたいとか予定がとか、そんな事は後回しにできる。

でも、まあ なんとかなりましたわ って時、自分の都合ばっかり思う。

 

これから どうなるんだろう…

カブの自由は どんな形に変わっていくんだろう…

オジに、今度いつ会えるかな…

 

お互いに そんな事がありながら、

落ち着いたら連絡する

と言って、いつも過ぎてきている。