カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

できることはない

年明けて、初めてオジに会った。

 

何か変わったかって何も変わることなどなく、いつも通り駅まで迎えに来てくれて、カブがしたい買い物に付き合ってくれてご飯食べて一緒に秘密基地に向かう。

 

正月中暇だったらしいオジは、基地の中を少し整理整頓して、車いじりもしてた模様。

正月暇だから、よかったら遊びにおいで って言ったのに(カブと共通の若いお友達は)来てくれなかったなー…なんて言ってた。

 

作業してる後ろ姿や横顔や、つむじをそっと覗き見て、オジのにおいをスンスンして体温を感じて、

やっぱりこの人好きだなー…って思う。

 

カブ、今日来てた上着を知らないうちに汚してたらしく、

ケツのとこ、汚れとる

ってオジが教えてくれた。

これじゃ、電車乗れん。ぴえん

と、洗剤とスポンジに重曹を駆使し染み抜きし、濡れた上着をストーブで乾かしてたら、仕事道具のヒートガン持ってきてふわ〜って乾かしてくれた。

 

すき。すきすき。

 

何考えてるか分かんなくて表情読めなくて、全面的広告優男ではない。

人としての普通〜みたいに、当たり前みたいにグッと来ることしてくる。

 

はぁー…

ヤダな、とられるの。

 

きっと、この人のこと好きな人は、こういうとこ見える人なんだろうな。

ちぇっ。みんな、知らなきゃいいのに。

 

あのひとは、そーゆーの、忘れないでいるのかな。

忘れてくんないかなー

 

カブ、手も足も出ない。

整えることなんてできない。

オジの気持ちに波風が立ったとして、カブはそれが凪ぐのを待つしかない。

そのまま持ってかれちゃうのかもしれないけど。

カブにはそれを引き止める権利もない。