カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

好きって何

ここまで、オジさんに対する熱い想いや 湿ったココロを書いてきたわけだけど。

 

好き って何?

 

え?それ、いままでのこれ、好き なんじゃないの?

とお思いでしょう。

 

好きなんです。

だいっすき。

 

けど。

 

なんか違うのだ。その、世の、そういう人たちの 好き と。

 

カブは、男の人が苦手だ。

親は カブが小学生の頃離婚して、カブと弟は母についた。

父親が苦手だった。

なぜか、陰湿で怖くて気持ちの悪い人だと思っていた。

子供の前ではしない夫婦喧嘩を、夜中してたり、母が泣いたりしているのを 知っていたからか。

 

母は モテる人だった。

離婚してからも、何人か言い寄る人は見てるし、再婚もした。

チチ(再婚した父親)は、すごく真っ直ぐですごく優しい人。

好きだけど、再婚して間もなくカブが結婚してしまったから、チチを父親として受け入れるとか、好きとか嫌いとか、そういう事を実感するほどの関係性が まだできなかった。

 

チチは、死んでしまった。

つい昨年。

闘病の間に カブはチチを好きになった。

チチは 尊敬できる人だった。

母の付き合った人は、どの人も好きになれなかったけど、チチは 好きになった。

 

 

恋愛は、まあまあした。

恋愛みたいな遊びもした。

けど、

カブは、恋愛に至るまでが好き。

互いに通じて 事が起きて、それが 長く続くと

嫌になってしまう。

でも、決断ができなくて、やな顔もできなくて、長く付き合ってしまう。

相手は それに気づかない。

 

いつも、最後の最後、もう無理だ…となった時、それを口にすると、相手は、

そんなばかな。ずっと楽しそうだったじゃん。全然気付かなかった!

と言う。

それは、もう やり直せなくなってからだ。

 

なぜ言えないか?

自信がない。

カブは 自分に自信がない。なさすぎる。

きれいだとか可愛いだとか、性格がいい悪いとか、付加価値があるなしとか、そういうことに関係なく、自分を認められない。

特に その理由が思い当たるわけでもないけれど、自分に厳しい。そして、弱い。

 

八方美人で みんなに好かれたい。

どこでもいい子で、誰にでもいい顔をする。

受けは いい。

いつも、誰にでも ニコニコする。

けど、誰に好かれても 自分は自分を好きじゃない。

 

誰かに好きって言ってもらって 全部を肯定してもらって、幸せの真ん中にいても、

いつか これは なくなる。と思うし、自分が そうしてしまう。

 

何が駄目なのか。

 

セックスが嫌。

 

それは、

汚い 怖い 気持ち悪い 暗い 嫌 嫌なもの、だ。

間抜けだし 格好悪いし 動物的。

 

そこまでに至るアレコレは 嫌じゃないのに、そして、そうなったら幸せなのに、それが続くと どんどん萎えていく。

 

付き合うと それは続く。

いつまで?って、ずっと続く。

そして、どんどん 胸のモヤモヤが大きくなっていく。

 

自分で 駄目にする。

 

だから、

もう そういうのは要らないのだ。

相手をがっかりさせて、自分も自分にげんなりする。

ごめんなさいの気持ちばっかりになる。

 

 

 

オジさんとは、何もない。

なんにもない。一切ない。

手を繋いだこともない。その先なんて 以ての外。

そして、カブには それがいいのだ。

それがいい。

 

もしも、オジさんとそうなったら…

それは、すごく幸せで すごく嬉しいことだけど、そして、そうなったら 首を横に振ることなんて絶対ない。

けど、

その先が カブには見えている。

 

だから、今の この距離が、カブには何よりも、本当に何よりも居心地がいい。

だいっすきな人と、絶妙な距離感で、そばに居られる。

それが、このままずっと続けばいい。

 

二人を知ってる下世話な人は、

付き合ってんじゃん、それは 付き合ってんだよー

って、親指立てながら言うけど、そうじゃない。

じゃあ、

「私たち 付き合ってるんです」

と言う二人が、手も繋がない チューもしない、それより先なんてもってのほか

でも、

「付き合ってるんです」

って言ったら、

あなたそれ、マジで言ってんの?騙されてるよ?!

と なるでしょう。

 

そういう事です。

 

カブとオジは、カブ と、オジ のままなのです。

それが、望む幸せなんです。

カブ は。

 

このままでいたい。

このままでいてほしい。

ずっと、ずっとずっと。

 

願わくば、この先の人生の、一番最後まで、このままで そばに居てほしい。

 

願うのは、

それが、きっと  叶わないから。