カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

オジと乗り物

今週のお題「わたしと乗り物」

 

「わたしと乗り物」と言えば、それは まさに、今の愛車である。

 

20年ほど前か、街で偶然見かけた車。

見るたびに心が踊って、どうしてもどうしてもどうしても この車に乗りたくなった。

 

 

 

免許を取って 最初に乗った車は、国産の軽だった。

どういういきさつか 全く覚えていない。

どうせすぐぶつけるし、安くてボロいやつ あてがっとけばいいでしょ、って感じで親が用意してくれたものだろう。

それでも、自分で1円も使わずに乗らせてもらえたのだから、大変ありがたい。

 

初めての車、どんなんだって嬉しかった。乗るのは楽しかったし、当時はまだ 車に夢があった。

 

同級生と、各々が自分の車に乗って 近くの海なんかにドライブして写真を撮った。

カッティングシートでキャラクターのステッカーを作って、ボンネットにデカデカ貼った。

車内はぬいぐるみとカーコロン、デカミラーはリボンでデコってマスコットぶら下げて。

シートカバー、クッション、キャラクターウインカー、スモーク…

…懐かしく、恥ずかしい。笑

 

卒業してすぐに結婚なんかしちゃって、アレが どうなったのかも知らない。

きっと弟が乗ったんだろうな。

結婚してからしばらく、実家にはほとんど帰らなかった。

今みたいに通信事情が発達してたわけじゃないし。

 

夫と その家族は、古い考えの家庭だった。

チャラチャラした高校出の嫁は、その箱の中に キリキリ収められ、友達と会うことも実家に頻繁に帰ることも 望ましくない、とされ、だんだん小さくなっていった。

 

 

 

車事情に戻る。

 

結婚したら、車は、夫が乗っていたものを受け継いだ。

国産の高級車、中グレード。

今まで乗った中で 一番ぶつけた。

あの軽から、高級セダンである。致し方ない。

今の相棒に至るまでの いい練習になってくれた と思おう。

 

子供ができて、ザ・ファミリーカー。

国産 SUV

本当は、すごく乗りたいのがあったんだけど、ベビーカーが乗らず 諦め。

でも、限られた候補から 自分の乗りたいものを選んだ。

 

だから、ここからは カブ名義で。

車は相棒である。

人の名義なんて嫌でござる。

 

10年乗った。

それはそれは、綺麗に乗った。

いつも自分で洗った。自分で拭きあげて、手入れもくまなくして 大切に乗った。

下取りの値はつかないと言われ、車屋のオークションに 出されるところ、たまたま見かけた老紳士に気に入られた。

こんなに綺麗に乗ってたんなら、エンジン載せ替えても乗りたいと思う。ぜひ、譲っていただきたい。

 

自分に、アイツに、もらえた勲章だ。

 

 

 

そして、今の相棒。

なんと、アメ車。

夢であり、憧れで。

呪文のように言い続けて、ある日見かけた中古車屋に、全く乗り気でない夫を引きずって行き、その意外と程度のいい状態を見た夫は、

 

今、これを買う って決めるなら、買ってもいい。またにするなら、もう この車は買わない。

 

色もグレードも装備も何も選べず、でも、この車に乗れるなら!と、飛びついた。

 

それからの蜜月は、語るに及ばない。

兎にも角にも愛しすぎた。

今や、生ける屍となった相棒。

カブの愛の重さ故に、死んでもなお生かされているハニー。

 

愛してるよ。

ボロくても、他人に乗られるくらいなら、下取りや売りになど出さない。

カブが、廃車にする。

 

人に盗られるくらいなら私が殺すわ。

 

 

 

こんな女である。

 

よく、男性のタイプとして、車を取っ替え引っ替えする人は、女も取っ替え引っ替えする、とか言う。

アメ車乗りのタイプは…

欧州車乗りのタイプは…

台数持ちは…?

 

先日、オジさんの仕事の後輩とランチをする機会があった。

カブ(♀)1、オジ含め(♂)3。

彼らは、全員 台数持ちだ。

 

上記のような例えをカブが口にしたら、

「そんなこと言ったら、オジさんは、相当熟女好きですねー」

と言われ、みんなで笑った。

 

国産旧車 台数持ち。

90歳近くの熟女、取っ替え引っ替え…

 

エモい…