カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

飲食店で怒り散らしているオヤジを無視して食している家族は一体何なんだ?と思っていた

あれは、慣れ。

 

 

 

オジさんを、優しい人のように書いてきた。

 

けど、時々オジさんは、すごくこわい。

 

オジさんがこわくなるきっかけは、だいたいお腹が空いてる時。

あと、最近知ったのは、仕事が忙しすぎる時。

 

初めてそれを見たのは、オジさんと その友達を交えて食事に行った時。

何度同じ注文をしても、なぜかその品物を持ってこない店員。

普段オジさんは 声が小さいのだけど、それがだんだん大きくなって、しまいには立ち上がって、

僕がそれを取りに行けばいいんだね!!

と、厨房へ歩き出し 店員を慌てさせていた。

いやもう、絶対あれは店員が悪いけれども、

温厚というか、静かで丁寧なオジさんの変貌ぶりに、心臓がばくばくして泣きそうだった。

 

それから幾度か、そんなオジさんの変貌を見た。

お腹が空いてるのに待たされること、そんな時の相手側の対応の甘さ悪さ に、きっかけがあるようだ。

そのきっかけを、カブがつくったこともある。汗

 

カブは、男の人が苦手だ。

大きい声を出す人、怒る人も。

家に男の人がいなかったからか、もともとの父親がよく怒る人だったからか。

 

オジさんは、声が大きくなくて親切で敬語で。

自分のことは、僕 と言う。

そういう所を好ましいと思っていた。

なので、正直この変貌には焦った。

こんなことがいつもの人だったらどうしよう。

ちょっと一緒にいられない…

 

そういうことにドキドキしながら まあ長い期間を過ごしてきたけれど。

ツボはわかった気がする。

オジさんの 怒る理由も、見ていれば、それはそうだ と納得する。

 

出すか出さないか。

不便や怒りがあっても、一切相手に言えない自分としては、言うべきことを言うべき時に言うことは 必要なことだと思う。

 

思っているのに言わない。

相手に伝わらない。

何度も同じことを繰り返される。

怒りが募る。

カブは、そういうことを 繰り返している。

ここまでやらなくていいけど、その発散力 少し分けてもらいたい。

 

それに加え、そんなオジさんを 笑えるようになった。

カブが、

怒る人はこわい、そういう時は泣きそうに嫌だし、いたたまれない気持ちになる。怒ってもいいけど、カブのいない時 知らない時だけにして欲しい。

という事を、これまた言えないカブにしては、この人には言えたのだ。

何回もそんな事があって、何回もビビっているカブを見、それを知って、オジさんは あんまり怒らなくなった。

 

今も そういうことはあるけれど、カブが先手を取って

ダメダメ、やめてね!って 紛らわすとか、オジさんが自分で先に笑いにする とかしてくれる。

 

相手を知っていくことと、伝えられること、たぶん、一緒のことを考えること

確かめてないけど、繰り返しの中で そういうことが 馴染んできているんじゃないかと思う。