カブトムシ、オジさんを嗅ぐ

お家柄の差で、好きなひとと結婚できなかったオジさんと、それにまとわりつくカブ(わたくし)の、恋愛に至らない日々

ウンウン以外に?

最近、なんかオジの休みが増えたような気がする。

 

今日も、昨日のうちに

「明日休み」

って言ってきた。言ってくるのは、

遊びに来いよ

である。そうなのである。

ニンマリしながら、足がないので電車に乗るのである。そして、駅まで迎えにきてもらうのである。

再度ニンマリ。

 

今日は、カブの新しい古い車の運転の練習をしたい、って言ったんだけど、別にやりたい事あってそれをやることにした。

それで、じゃあイベントまでにいつ練習できるかねー?って、昼ごはん食べながら話してたら、

「次の休みは、あの子にランチ誘われてるから…」

とオジは言った。

「あの子とー」

って。

 

何で二回言うねん。

カブは、食べながら ウン と、顔を見て頷いた。

特に言えることもないし、ノーはないんだから頷くしかない。

二回目も、分かったよって顔のまま ウンウン と。

 

ふーん。

ちょっと前に、こっちに帰ってきてるってのは聞いてた。

なら、飯でも行く?ってなったけど、あの子の職場の人に感染者が出て、直接会うことも関わることもない人なのに月末まで行動を制限されてるってなってる って言ってて、だからヤメたわ、って。

 

その期間過ぎたら、あの子は遠い県の住んでるとこに帰ったのかと思ったら、まだいるんだ…

えー…もしかしたら、住処引き揚げてこっちに帰ってきた ってことなのかな?

 

えー…

えー……

えー………

 

ひとつの休みがなくなるのは、そうねまあね、カブのひとじゃないしね。とか思えなくもないけど、

たくさんの休みがそういう風になっていくのには怯える。

 

ずっと前に、あの子の気に入ってるとこは、プライベートなことをあまり言わないこと、みたいな事言ってた。

カブは、全部言う。全部全部ぜーんぶ。

面白いことも悲しいことも怖いことも嫌いなのも好きなのも、会話をするのが楽しいから、否定せず解決せず茶化さずただ聞いていて知ってくれて流してくれるから、つい喋っちゃう。

 

けど、そんなカブは、あの子とはだいぶ違うな。きっと。

昔、知り合った頃、

お酌がよく分かんない。飲んだら楽しくなっちゃうし、自分の酒は自分で注ぐし、人のことまで気にしてられないからお酌なんて気が回らない。そんな自分はよろしくないと思う

と、飲む席で話したら、

別にそれでいいじゃん。出来ないこと無理にしなくていい。そのままで楽しいままいたらいい

って言ってくれた。

そして、食事どころでお水注ぐことも意識にないカブに、いつも先にお水を注いでくれる。

 

だから、

カブのことだって、それなりにどっか気に入ってるんだって!

全部喋る人でもお酌できなくてもずっと成長しなくても、どっか気にいるとこあるからこうしてずっと一緒にいるんだってばよ!

 

って、無闇に自分を励ましたってしょうがない。

実際、あっそう ってガッカリはするけど、前ほどに取り乱し気味になったり凄い不安に襲われたりする感覚はない。

 

あっそう。じゃあ、カブはハハとランチにでも行こうかな、その日、埋めちゃうからな。ドタキャンとか言ってきたって知らないぞ。

とか思ってみる。

 

だって、その次の休みは、練習だね って言ってたもん。もん。